今年ももう少しで終わり。
自分にとっては一年で数年分のボリュームのある年だった。


その中のうちの一つ大きな出来事があった。

音楽のトラウマが一つ消えた。
(それは後日に!)



トラウマと言ったら不思議かもしれない。



私はまったく音楽に触れない時期が数年あった。



それを掘り起こしてくれたのが、パソコンの通信で
音楽データのやり取りをしていた二人の友人だった。



彼らには言い表せないくらい感謝している。

彼らと出会わなかったら、きっと
魂の約束(ロンド)を生み出すこともなかっただろう。




最初は瑠璃に紹介された兄Sと通信を始めた。
私も瑠璃も彼を弟分として親しくしていた。


私は当時ネット初心者だったが
彼が通信や検索を教えてくれた。
音楽データの交換ができることもそれで知った。
私個人が普通なら見向きもしなかっただろう
サウンドトラックやアーティストの曲を色々くれた。


寡黙な人だが、素朴でいつもマッタリしていた。
震災に遭った時はなかなか連絡が取れず
心底心配したが、大きなケガもせず無事だった。





もう一人、ひょんなことからその弟Tと通信を始めた。
Back Street Boys の曲をもらうためだった。


通信で話してみると、なかなか繊細で心優しい人だった。


私はお礼に自分の持っているデータをあげて
そのアーティストを彼が気に入り更に違う曲をくれたりと
音楽から離れていた私に再びその世界を見せてくれた。



一時期音楽から遠ざかっていたものの
色々な曲を聴くようになって
デビュー当初のアンジェラ・アキを好きになった私。
段々ヒットしてきて次の新譜が
ゲームファイナルファンタジーのサントラ曲だった。



その話題をT君にしたところ
彼は黙って聞いていたのだが

ある日通信上に放り込まれたデータ
それは、発売日前のその曲だった。


どうやって入手したのかわからないが
結構がんばってくれた様子が伝わってきた。
当時瑠璃の病魔で気が塞いでいた私を慰めるための
彼なりの優しさだった。


瑠璃がもう長くないとわかったとき
音楽によって足跡を残すことを思いついたのは
彼ら二人がキッカケだ。


私は魂の約束(ロンド)が完成した時、真っ先にT君に聴いてもらった。

つたない完成度なので
コッソリ聴いて欲しい
とデータを差し出したら

「じゃぁ、大音量でw」



と茶化しながら聴いてくれた。


今、私はYouという曲のオルゴールバージョンを聴きながら
これを書いている。


『あなたは今どこで何をしていますか?
この空の続く場所にいますか?
いつものように笑顔でいてくれますか?
今はただそれを願い続ける…』



都会に就職しネット環境が無くなったT君とは
もう通信で会話することも無いが



彼らがくれた曲や、当時聴いた曲を聴くと
その当時の思いや出来事が
フラッシュバックする。



音楽には思いがこもる。

それが他人の作った曲でも・・・
モリーが蓄積されるのだ。



魂の約束(ロンド)
にはたくさんの人の「思い」が
こもっている。


離別の悲しみ
死の恐怖
生きる意味


様々な人の思いが
その曲の中に合流し、新たな世界が生まれる。

言霊(ことだま)
という言葉だけでなく存在する
それが
音霊(おとだま)


未来に向かって思いは変化し続ける。

当時の私はあの頃に比べて格段に力強く生きている。
(当初、実はうつ病だったのだ・・・)
でも、前を向き続けていられたのは
そんな支えがあったから。




「がんばることは格好悪い。」
と私をうつ病に追いやった人が私に言い放ち


「がんばったら報われる。」
と私を生かした人が常日頃言っていた。



私は、私を生かし支えてくれたそのT君の言葉を大事に
感謝とともに今も生きています。